【内科・消化器内科医に聞く】胃の専門医が実践する健康習慣


内科・消化器内科 山口医院
京都の各地で、かかりつけ医の先生に健康習慣を伺うこの連載企画。
身近な診療所の先生が日々どんな工夫をして健康を保っているのかをご紹介していきます。
第1弾となる今回は、京都府木津川市・相楽郡で地域に根ざした内科・消化器内科の診療を長年続けてきた「山口医院」の院長、山口泰司先生にお話を伺いました。
内科全般を幅広く診る一方で、特に消化器内科を専門とし、胃内視鏡検査やピロリ菌対策、胃がんの早期発見に尽力されています。
患者さんに健康を語る立場の先生ご自身が、日々どんな工夫をして体調を整えているのか。
そのルーティンには、無理のない「続けられる工夫」がたくさん詰まっていました。
普段の健康習慣(食事・運動・睡眠・メンタルケア)で特に大切にしていることは?
山口先生:一番は食事ですね。基本は「腹八分目」。食べすぎると消化器に負担がかかり、内臓も疲れてしまいます。私は普段から「少し物足りないな」くらいで食事を終えるようにしています。
また、日常の中で体を動かす工夫も大切にしています。たとえば、3階まではエレベーターを使わず階段を使うこと。わざわざ運動の時間を取らなくても、生活の中に取り入れるだけで体は違いますよ。
睡眠は隙間時間でも寝るがモットー。
仕事の合間に短時間でも目を閉じると、脳も体もリセットされます。
メンタル面では「必要以上に考えすぎない」。心配しすぎるよりも、気楽に構えることが長続きの秘訣ですね。
仕事が忙しい中で健康管理のために意識していることは?
山口先生:私たち医師は診療や当直などで生活リズムが乱れやすい仕事です。その中でも「食事と睡眠だけは最低限確保する」ようにしています。
忙しいからといってどちらかを削ると、体調を崩しやすくなる。
また、ストレスをため込まない工夫もしています。嫌なことを抱え込んでいると、結局仕事の能率も落ちますし、体調不良にもつながります。
日々の食事で気をつけていることや、特に意識して摂っている食材は?
山口先生:「ゆっくり食べる」ことを心がけています。早食いは胃腸に負担をかけ、満腹感も得にくい。時間をかけて味わうだけで、少ない量でも満足感が高まります。
食材では、植物性たんぱく質を優先して取り入れ、そこにビタミンやミネラルをバランスよく組み合わせます。
肉や魚だけでなく、豆腐や豆類を意識すると胃腸にやさしく、栄養も偏りにくいですよ。
運動習慣はありますか?(頻度・内容・継続のコツなど)
山口先生:決まった時間に運動するのは難しいので、普段の生活に動きを散りばめています。
診察の合間や買い物の時にも、意識的に「チョロチョロ歩き回る」。
大げさな運動ではなくても、積み重ねが大事です。
家事の合間や買い物のときに少し歩数を増やすだけでも立派な運動になります。
睡眠の質を高めるために意識していることは?
山口先生:「寝ると決めたら余計なことは考えない」。
頭の中であれこれ反省会をしてしまうと眠れなくなります。私は布団に入ったら、楽しいことを少し思い浮かべる程度でスッと眠るようにしています。
睡眠の質は量よりも切り替えの上手さがポイントかもしれません。
ストレス解消法やメンタルケアの方法は?
山口先生:私の場合は「音楽」と「スポーツ観戦」。音楽は聴くだけでなく演奏もします。
没頭できる趣味を持つことが一番のストレス解消ですね。
スポーツ観戦も同じで、「我を忘れて熱中できる時間」が心のリフレッシュにつながります。
長年続けている健康ルーティンはありますか?
山口先生:週に2〜3度の飲酒。といってもほろ酔い程度にとどめています。
飲みすぎないことが続けるコツです。
それから、たまにスーパー銭湯に行くこと。体が温まるのはもちろん、気分転換にもなります。仕事から少し離れて自分の時間を持つことはとても大切ですね。
その習慣を始めたきっかけや、忙しい中でも実践しやすいポイント、持続させるための秘訣は?
山口先生:どれも「自分一人でできる」ことばかりなんです。特別な器具や仲間がいなくても、隙間時間にできることを選ぶと、忙しくても続けられる。
そして何より大切なのは「度を越さないこと」。
健康法も無理にやりすぎると逆効果になります。バランス感覚を持って取り組むことが一番ですね。
患者さんにもおすすめできる簡単な健康習慣は?
山口先生:まずは「睡眠を大切にすること」。
寝るときに「良い夢を見よう」と思うくらいの気持ちで布団に入ると、自然とリラックスできます。
次に「隙間時間の軽い運動」。
エスカレーターをやめて階段を選ぶだけでも十分です。
そして「笑えること」。
家族や友人と笑ったり、お笑い番組を観たり、なんでもいいのです。笑いは免疫力を高め、心身を軽くしてくれます。
健康に良いおすすめのお料理を教えてください。そのレシピがもたらす効果についてもお願いします。
山口先生:冬場なら「湯豆腐」や「ブリしゃぶ」がおすすめです。
豆腐は良質なたんぱく質、ブリはオメガ3系脂肪酸(DHAやEPA)を含んでいます。白菜などの野菜を加えれば、ビタミンやミネラル、抗酸化物質もバランスよく摂れる。
体が温まるのはもちろん、鍋なら後片付けも楽ですから、どなたにも取り入れやすい料理ですよ。
読者に向けて、健康に関するメッセージをお願いします!
山口先生:健康は、若いころは当たり前のように与えられているものですが、年齢を重ねると少しずつ失われていきます。そのスピードは人によって違いますが、確実にやってくるものです。
だからこそ、自分自身で守らなければなりません。医師はそのための健康アドバイザーです。
気になることがあれば、遠慮なく相談してください。
医師を上手に利用することも健康維持の大切な方法のひとつです。
