乾燥肌のかゆみはなぜ起こる?冬に悪化しやすい原因と正しい対策法

冬になると、「肌がカサカサする」「服が触れるだけでかゆい」と感じる人が増えます。
実は、こうした乾燥肌によるかゆみは、気温や湿度の低下、生活習慣の変化などが重なって起こる季節性の肌トラブルのひとつです。
ここでは、冬にかゆみが悪化しやすい理由と、日常生活でできるスキンケア・予防法を紹介します。
なぜ乾燥すると「かゆみ」が出るの?
肌が乾燥すると、まず「角層の水分量」が減少します。
この角層は、肌のいちばん外側にある“バリア”の役割を担っており、水分を保持し、外部刺激から肌を守っています。
しかし、乾燥によって角層のバリア機能が低下すると、次のようなことが起こります。
- 外気の刺激や衣服との摩擦で神経が過敏になる
- 皮膚の内部に微細な炎症が生じ、かゆみ物質(ヒスタミンなど)が放出されやすくなる
- かゆみで肌をかく → バリア機能がさらに壊れる → かゆみが悪化する
この「かゆみの悪循環」が、冬の肌トラブルを長引かせる原因のひとつです。
冬に乾燥肌・かゆみが悪化しやすい理由

乾燥肌のかゆみは一年中起こり得ますが、特に冬場に悪化しやすいのは次のような理由があります。
1. 湿度の低下
冬は湿度が30%以下になる日も多く、空気中の水分が少ないため、肌の水分が蒸発しやすくなります。
加湿器を使わずに暖房を入れると、室内の湿度がさらに下がり、肌の乾燥を助長します。
2. 皮脂の分泌量が減る
気温が低下すると、皮脂腺の働きが弱まり、天然の保湿膜(皮脂膜)が作られにくくなります。
皮脂膜が不足すると、水分が逃げやすくなり、肌の保湿力が低下します。
3. 入浴時の洗いすぎ
冬は温かいお風呂でしっかり洗いたくなりますが、熱いお湯や強い洗浄力の石けんは、皮脂を過剰に落としてしまう原因になります。
必要な皮脂まで失われると、肌のバリア機能が急激に低下し、かゆみが出やすくなります。
4. 加齢による保湿成分の減少
40代以降は、角層内の「セラミド」や「天然保湿因子(NMF)」が減少します。
そのため、若い頃よりも乾燥しやすく、少しの刺激でもかゆみを感じやすくなります。
5. 衣類や静電気の刺激
冬の衣類(ウールや化学繊維など)は摩擦が強く、乾燥した肌に触れると刺激になります。
また、静電気も肌に微弱な刺激を与え、かゆみを悪化させる要因となります。
乾燥によるかゆみを防ぐ日常ケア

かゆみを予防するためには、「肌の水分を守ること」「外部刺激から防ぐこと」がポイントです。
以下のような日常ケアを意識してみましょう。
1. 入浴は「ぬるめ&短時間」が基本
お湯の温度は39〜40℃程度が理想。
熱すぎるお湯は皮脂を奪いやすく、かゆみの原因になります。
また、ゴシゴシこするのではなく、泡で包むようにやさしく洗うのがコツです。
ナイロンタオルよりも、綿やシルク素材の柔らかいタオルがおすすめです。
2. 入浴後すぐに保湿する
お風呂上がりは肌の水分が急速に蒸発します。
10分以内に保湿剤を塗ることで、肌のうるおいを閉じ込めることができます。
保湿成分としては、セラミド・ヒアルロン酸・グリセリン・ワセリンなどが配合されたものを選ぶとよいでしょう。
3. 衣類は刺激の少ない素材を選ぶ
直接肌に触れる下着やインナーは、綿やシルクなどの天然素材がおすすめです。
ウールや化学繊維は肌への刺激が強い場合があるため、重ね着で工夫しましょう。
4. 室内の湿度をキープする
加湿器を使って湿度を40〜60%に保つことで、肌だけでなく喉や鼻の粘膜の乾燥も防げます。
加湿器がない場合は、濡れタオルを室内に干すだけでも一定の効果があります。
5. 栄養バランスと水分補給を意識
肌のうるおいを保つには、内側からのケアも欠かせません。
ビタミンA・E・Cを含む食材(にんじん、アーモンド、ブロッコリーなど)や、必須脂肪酸を含む魚・ナッツ類を意識的にとりましょう。
また、冬でもこまめな水分補給を心がけることが大切です。
かゆみを悪化させないための注意点
乾燥によるかゆみは、つい無意識にかいてしまうことで悪化します。
以下の点に注意して、肌を守りましょう。
- かゆみがある部分を冷やす(冷タオルなどで刺激をやわらげる)
- 爪を短く切る(かいても皮膚を傷つけにくくする)
- アルコール・香料入り化粧品を避ける(刺激になる場合がある)
- 衣服の洗剤を見直す(無香料・低刺激タイプに変える)
それでもかゆみが強い場合や、赤み・湿疹を伴う場合は、湿疹やアトピー性皮膚炎など別の皮膚疾患の可能性もありますので、早めに皮膚科で相談することをおすすめします。
まとめ:冬の肌を「守る」ケアでかゆみを防ごう

冬の乾燥肌によるかゆみは、気温や湿度の低下、加齢、生活習慣など、さまざまな要因が重なって起こります。
ポイントは、肌のバリア機能を守ることと保湿を継続すること。
「ぬるめの入浴」「10分以内の保湿」「加湿環境の維持」といった日常の小さな工夫が、かゆみの悪化を防ぐ鍵になります。
肌をいたわるケアを積み重ねて、冬でも快適に過ごしましょう。
参考文献
- 「乾燥肌・乾皮症」の原因・症状・対処法 | ロート製薬: 商品情報サイト
- 冬季・乾燥期に出現する乾燥性皮膚炎にはどう対処する?│医療コラム│一般皮膚科・美容皮膚科の日比谷ヒフ科クリニック







